考察: 一流のレイアウトを分析する

私のレイアウトと、模型誌に掲載されるような一流のレイアウトの出来には言うまでもなく雲泥の差があり、それは何に起因するかといえば、一言で言えば製作者の「細かくカチッと再現する技術力」と「情景を切り出すセンス」ということになるのかと思います。
ここでは一流のレイアウトの分析を通じて、「技術力」のなかで必ずしも手先の器用さに拠らない部分と、今しがた「センス」で片付けてしまった技術力以外の要素について、5つの項目に簡潔にまとめました。

一流のレイアウトの特徴 5つ

1. アウトプットからの逆算

具体的に: 実物を観察して作りたい風景を全体像・ディテールの双方で捉えて、それに近づけていく。最終的なアウトプットの姿から個別のインプット(ストラクチャーやシーナリー)を逆算して製作する。

2. 視覚的な広がり

具体的に: 適度な高低差(線路の高さよりも低い方向にも)、緩やかな勾配・カーブ半径。

3. 自然な構図

具体的に: 道路と建物の配置を、レイアウトボードの切り口や線路の配置に安易に従属させない。例えば道路・建物の配置をレイアウトボードないし線路と意図的に並行・直角にしないことで、レイアウト全体の構図をより自然に、表情豊かに見せる。

4. 色づかい

具体的に: 全体の色の感じ(濃淡、彩度、色温度)の選定。少し大げさな表現ですが、画家が色づかいを選ぶように、カメラマンがホワイトバランスを調整するように、作りたい画に応じて色づかいを選ぶ。ベタッとした色合いより比較的淡いタッチを選択することが多いように見受けられます。

5. 「空気の色」

具体的に: 対象の彩度を下げ、色を落ち着かせることを目的にエアブラシで薄い塗膜を乗せる。ミニチュア風写真(tilt-shift)の多くがピントの深さ調整に加えて彩度を上げていることは、一般にジオラマの彩度が実物と比較して鮮やかなことの間接的な証拠といえます。またグレーやマホガニー等からの立ち上げ塗装によって、全体に狙った空気感を出すことも行われます。

(その他)

・自然光で写真を撮影する。撮影時に背景ボードを設置する。
・鉄道車両にもエアブラシによる色調調整とウェザリングを実施する。
・繊維系素材を使う。
・フレキシブルレールを使う。
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