Nゲージレイアウトの製作法をマニュアル化しています。
スタティックグラスをアプリケーターで静電植毛する方法をご紹介します。
【 動画解説】
まずは地面の塗装です。既に地面製作時にエアブラシで薄く塗装していますが、水分を含む土を表現するため薄めたエナメル塗料を筆塗りします。ただ色が薄すぎると草素材とのコントラストが強く出てしまい、上から見たときにスカスカ感が出るのでバランスに注意です。左の作例では薄めたフラットアース:ダークグレイ=2:1を何度か塗り重ねています。右の作例ではより水分の多い泥の地面をイメージして、ダークグレイ+デザートイエロー少量を塗り重ねています。
次に地表の石などのテクスチャー表現として、マットメディウム水溶液(マットメディウム:水=1:3)を指で塗り、粒度の細かいナノプランツやパウダーを密度低めにパラパラ撒きます。作例では、地面の色に近い漉したナノプランツ(ミックスグリーン=緑褐色)と濾したタケダ製ジオラマパウダー(黄土)を使用しています。
お好みで、草に緑色の色味と密集感を加える目的でナノプランツ(グラスグリーン=若草色)を規則的にならないよう気をつけながら小面積ずつマットメディウム水溶液で固定します。ここで撒くナノプランツはあくまで下地素材として、最終的にはスタティックグラスで覆う前提です。
スタティックグラスの固定に入ります。まずマットメディウム水溶液を小面積ずつ、形や配置が規則的にならないように塗ります。
アースをベース断面に挿し、アプリケーターで植毛します。固着しなかった余分な繊維はふるい落とすかハンディクリーナー等で吸い取り、再利用します。
「水溶液塗り→静電植毛→ふるい落とし(吸い取り)」のサイクルを、適宜スタティックグラスの色を入れ替えながら繰り返し、施工面積を拡大していきます。ある程度地面が露出した部分を残すと実感的に仕上がります。
一回ではボリューム(草の密度)が足りないので、適宜固着したスタティックグラスの上に重ね撒きします。自然な高低差が出て、上から見たときにスカスカにならない位になったらOKです。
草の「生え際」となる部分を自然になじませるため、お好みで生え際部分に水溶液を塗り、淡め・短めのスタティックグラスをアプリケーターなしで指で散布します。作例ではグラスセレクション(ライトグリーン)をデザインナイフで細かく刻んだものを使用。
最後に、細い草に混じって生える葉を表現するため、ミニネイチャー「枝葉」の枝部分を除去したものを微量のマットメディウム原液で接着します。作例ではブナの枝葉(春の訪れ)、白樺の枝葉(夏の盛り)を使用しています。
・「(1)」の日本の若草を、「日本の若草:タケダライトグリーン(約2.5mmに刻み) 2:1」に置き換える
(3) 春夏淡め: 彩度をぐっと抑えた色合いです。色を淡く薄める「割り材」としてGreen Stuff World「干し草」を使っています。
・もふもふ草カフェオレ:グラスセレクション干し草色 1:1
・もふもふ草カフェオレ:グラスセレクションカーキ 1:1
・もふもふ草カフェオレ:グラスセレクションライトグリーン 1:1
・もふもふ草カフェオレ:グラスセレクショングリーン 1:1
・もふもふ草カフェオレ:Green Stuff World干し草 1:1
・背の高い植物: マルティンウェルバーグ雑草 サンドブラウン
(もふもふ草カフェオレはJoefixライトブラウン2mmで代用可)
自分の欲しい色のスタティックグラスがない場合に、染色により色調を調整してオリジナルカラーを作る方法をご紹介します。
素材となる薄めの色合いのスタティックグラスを用意します。塗料の色がそのまま繊維に入るわけではなく素材色に「色調を乗せる」ような形になるので、無染色をベースとするのがベストとは限りません。写真は手前からJoefix「ベージュの草(1mm)」、もふもふ草カフェオレ、もふもふ草エッグシェルです。
スタティックグラスを軽く薄めたアクリル塗料に30分~数時間浸します。作例では素材にもふもふ草エッグシェル、塗料にフラットグリーンを使用。
キッチンペーパーを押しつけて余分な溶剤と塗料を拭き取り、乾燥後指先や爪楊枝で繊維をほぐして完成です。私の感覚では、染色による帯電性能への影響はないように見受けられます。
静電植毛によって芝生を再現する方法を解説します。実物の芝生の高さは長くて10cm未満だとすると、Nでは1mm長でもオーバースケールということになりますが、現実的には1-1.5mm長のスタティックグラスを用いるのが落としどころかと思います。
この長さは市販品のラインナップが限定されるため、私はJoefixのベージュの草と、ベージュの草をベースに自家染色(フラットグリーン単色・ライトグリーン2:パークグリーン1)したものを使っています。また1mm長の繊維はダマになりやすいので、前の工程の草が確実に乾燥してから次のステップに進むようにし、静電植毛後は乾燥前にリカバリしようとせず、乾燥後に水溶液を追加するなどして手直しするようにすると比較的均一に仕上がります。
まず枯れ草として、芝生の周縁部となる部分等に面積が大きくなりすぎないように注意しながらマットメディウム水溶液を塗り、ベージュの草を静電植毛します。
乾燥後、施工したい部分全体、周縁部はベージュとやや重なり合うようにマットメディウム水溶液を塗り、フラットグリーン染色の草を静電植毛します。
乾燥後、同様に全体にライトグリーン・パークグリーン染色の草を静電植毛して完成です。
アプリケーターはスタティックグラスを静電植毛する装置で、製品名はメーカーによって異なりNoch「芝生の達人(グラスマスター)」、Peco「グラスアプリケーター」等が代表的です。私はPeco製「ピンポイントアプリケーター」の容器内に中央を小さく開孔したプラ板をはめ込んで、より"ピンポイント化"したものを使用しています。
スポンジ系素材を散布する方法をご紹介します。
繊維系素材同様、まずは地面の塗装です。既に地面製作時にエアブラシで薄く塗装していますが、水分を含む土を表現するため薄めたエナメル塗料を筆塗りします。作例では薄めたフラットアース2:ダークグレイ1を何度か塗り重ねています。
マットメディウム水溶液(マットメディウム:水=1:3)を指で塗り、ナノプランツや刻んだスモールプランツを散布します。
ボリュームを追加します。作例左側は粒の大きいスモールプランツ・プランツシートを用いた例で、微量の台所用洗剤を追加したマットメディウム水溶液をスポイトで滴下して固定します。作例右側は粒の大きさは変えずに、ベース素材として少量のファイバープランツを平べったくつぶしてマットメディウムで固定後、ナノプランツを上から撒いて水溶液で固定しています。プランツシート、ファイバープランツは余計な繊維をハサミでカットして整えます。
主にスポンジ系素材やパウダーについて、Nに適した粒度の素材を選別するために使用します。濾して細かい粒を収得するだけでなく、ふるいに残ったやや大きめの粒を収得するという使い方もできます。左は一般的な網目の茶こし(無印良品製)、右は網目が1mm間隔と粗目の粉ふるい(パール金属製)です。